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伝聞の検証と肌感覚では’70年万博の印象が異なる

大阪・関西万博が始まり、関西は万博一色ムードに満ち溢れている。開催前は色んな批判が報道されていたが、手の平を返したようにマスコミでは盛り上げようとしており、連日TVのニュースやバラエティ番組で万博案内が報じられている。いざ始まってしまえればマスコミ陣も成功に導きたいのか、協力している事が傍目からも察知できる。4月13日に開催されて一週間で52.4万人が来場したそうだ。一日平均にすると約15万人が万博会場に足を運んでいる計算になる。これは2005年の愛知万博を上回るペース。ところが想定数にはまだ届いていないようだ。1970年に開催された大阪万博は3月15日〜9月13日までの183日間で約6400万人もが訪れた。かなり盛り上がった印象が残っているが、当時大阪万博に出店していた人に話を聞くと、意外にもオープン当初は低空飛行だったらしい。春休みは何とか人が来ていたが、それが終わると客足は衰え、新聞では出店している店の料理が「高い上にまずい。おまけに冷たい」と酷評され、あらゆる所で労働問題も勃発。各所でストライキまで起きて散々な出だしだった という。ところがGWから後はどっと人が押し寄せ、連日押すな押すなの大盛況ぶり。低空飛行の風聞も一切伝わらなくなって万博フィーバーになってしまった。私はまだまだ子供で、はっきりとした印象は三菱未来館の映像スケールと、お祭り広場で催された日本の祭りぐらい。ただ父親が大手鉄鋼メーカーにいた関係で開催目前の内覧会的な催し(プレオープン)に招かれて一緒に見学したのと、田舎や地方から万博目当ての親戚が何人も泊まりに来てその度に連れて行ってもらったので周囲の同年代の子供よりは訪れる機会も多く、その点もあって深く印象にとどめている。
 ‘70年万博では、何といってもアメリカ館の月の石展示が話題に。それに同じ大国のソ連館も長蛇の列ができてなかなか観られなかったのが有名だ。画期的なものは三菱未来館の動く歩道。館内をそれに乗って巡る仕組みになっており、万博での成功によって全国で動く歩道がそれ以降に広まっている。サンヨー電機館にあったのは人間洗濯機。カプセル内に座っているだけできれいになると話題で、水着姿で入浴するモデルが出て来ると黒山の人だかりになっていた。この技術は後年になって介護用の浴槽に活用されたようだ。今の万博ではその進化版も展示されている。

関西万博2025

 

関西万博食べ物

食関連でいえば万博きっかけで流行ったものに缶コーヒー、ヨーグルト、フランスパン、回転寿司が挙げられるらしい。ただこれらは子供ながらの肌感覚でいえば万博が始まりではない。UCCが出した世界初の缶コーヒー「UCCコーヒー ミルク入り」は万博のニュースでそれを飲むシーンが報じられて一気に売れたらしいが、発売自体は万博の前年の4月である。ヨーグルトとて万博で始めて日本人が知ったと今では報じられているが、それは間違い。田舎の子が「ブルガリア館に行った」と自慢していたのを聞いて従兄弟らと「ヨーグルトでも食べて来たのか」とからかった記憶があるからだ。当時子供でもブルガリア=ヨーグルトの図式が頭に入っていたのだろう。調べてわかったが、万博後に明治乳業が「明治ブルガリアヨーグルト」と、商品名にブルガリアの名を冠する使用許可が降りたそう。万博がきっかけで商品化に至っただけで始めて知ったわけではないようだ。フランスパンとて同じような誤解を生んでいる。芦屋で「ビゴの店」を開いたフィリップ・ビゴさんは、1965年に東京見本市でパンを焼くために来日し、「ドンク三宮店」で技術指導員として働いている。彼は翌年開いた東京の「ドンク青山店」でも仕事を。そこでフランスパンを焼くスタイルが話題になったそうだ。これによってフランスパンブームが訪れたので万博開催時には阪神間や東京の人はすでにフランスパンを知っていたと思われる。回転寿司なんて万博遺産とされるのは全くおかしな話。回転寿司の生みの親は「元禄寿司」(元禄産業)の白石義明さん。彼はアサヒビールの工場見学でベルトコンベアでビール瓶が運ばれるシステムを見て回転寿司を発想した。この着想から10年程たって回転寿司が誕生。試行錯誤の末、今の原形が完成した。1958年に布施駅前(東大阪)に「元禄寿司」をオープンさせ、回転寿司を披露した。人手不足解消から考えたシステムだったが、その面白さがウケて大ヒットした。1962年にはコンベア旋回式食事台の名で実用新案登録を行なっている。当時は一皿が4貫50円と安価で、「寿司屋に行くと価格表記がなく、いくら取られるかわからない」との不安が回転寿司で解消されて人気に。こんな事もあって流行ったようだ。「万博にも出店して有名になったが、大阪ではすでに知られた存在だった」と寿司通は言っている。このように創作のもとやブームのもとを遡って行くと辻褄が合わない話が出て来る。これらは大半が後年になって当時生まれていない人が噂を信じて検証したものにすぎないと思ってしまう。

食分野で万博にて流行ったものは、ファストフードとファミレスチェーンストアなどの外食産業の礎がデビューした事だろう。万博会場ではソ連館の「パルナス」と米国館の「ロイヤル」が鎬を削る程の盛況ぶりを見せた。特に米国展示ゾーンにあった「ロイヤル」のステーキハウスは、毎日ステーキが2000枚、ハンバーグが2000枚売れたらしく、期間中の会場内店舗での最上売上額を叩き出している。「ロイヤル」の創業者・江頭匡一さんの「私の履歴書」によると、駐日米国大使館から出店要請があったのは万博前年の5月。ハワード・ジョンソン社が出店を辞退したためにそのお鉢が回って来た。試算すると2億円の投資で約4千万円の赤字になる。利益が1億円の頃だっただけにかなり思い切った賭けになった。ところが江頭さんは、立ち上げたばかりのセントラルキッチンを試す絶好の機会だと踏んで出店に踏み切った。当初は会期中に7億円売れればとんとんになると考えていたのが、締めてみたら11億円を軽く超えていた。それくらい「ロイヤル」は万博で大成功したのである。この成功を機に万博の翌年に「ロイヤルホスト」が北九州でオープン。ファミレス時代の幕開けに(「すかいらーく」は万博とは別に1970年7月に府中に第1号店をオープンしている)。どちらかというと、それまでの飲食業は水商売と揶揄(やゆ)されていたのが、「ロイヤル」の万博での成功によって外食チェーンという新しい形を日本にもたらしたといっても過言ではないだろう。

関西万博食べ物

 

関西万博ファストフード

ファストフードも万博によって全国に広まった事例だ。万博で出店していた「初亀」(当時は亀岡商店)の亀岡育男さんに生前話を聞きに行った事がある。当時大学生だった亀岡育男さんは、万博出店の人集めから仕事を手伝っていたらしい。冒頭の始まった頃の低空飛行も彼に聞いた話である。まだ若かった亀岡育男さんは、サンフランシスコ館で売っていたフライドポテトが珍しく、毎日食べに行ったそうだ。それにアメリカンドッグも初めての味で、その旨さに驚いたと話していた。亀岡育男さんの話でもわかるようにまだまだファストフードは日本では珍しかったのだろう。米国ゾーンにあった「ケンタッキーフライドチキン」も万博で有名になり、連日長蛇の列ができていたと聞く。この成功によって三菱商事が「ケンタッキーフライドチキン」の第1号店を1970年の11月に名古屋でオープンさせている。万博流行りばかりではないが、この頃ファストフード店が日本にお目見得しており、万博の年には、ダスキンが「ミスタードーナツ」を創業。翌年には箕面で第1号店となる箕面ショップをオープンさせている。同じく1971年には、輸入雑貨商をしていた藤田田(でん)さんが「マクドナルド」の1号店を銀座に、翌72年には櫻(さくら)田慧さんが「モスバーガー」を成増(東京)に。2月に会社ができた「ロッテリア」も7月に浦和にパイロット店を開いている。まさに万博が契機となってファストチェーンの花が開いた事がわかる。
 さて2025年に大阪・夢洲で開かれている大阪・関西万博は、どんな食遺産を残してくれるのだろうか’70年大阪万博のファストフード流行からそれに手を加えたものもあると聞く。「初亀」は「醗酵食堂 Hasshoku」をやっているそうだ。味噌・醤油・酒粕など日本の発酵文化をテーマに飲食店を運営。蔵を連想させる意匠を随所に表した店舗内では、味噌・醤油・酒粕などを使ったハンバーガーやカレー、ドリンクなどが売られている。万博会場ではないが、六甲味噌製造所でも自社の味噌をうまく使ってファストフードのアレンジ版を調理できないかとのレシピもHP上に載せる予定になっている。日本に訪れた外国人が、万博を機に日本の発酵文化に触れてもらえれば嬉しい限りだ。
(文/フードジャーナリスト・曽我和弘)

<著者プロフィール>
曽我和弘
廣済堂出版、あまから手帖社、TBSブリタニカと出版畑ばかりを歩み、1999年に独立して(有)クリエイターズ・ファクトリーを設立した。食に関する執筆が多く、関西の食文化をリードする存在でもある。編集の他、飲食店プロデュースやフードプランニングも行っており、今や流行している酒粕ブームは、氏が企画した酒粕プロジェクトの影響によるところが大きい。2003年にはJR三宮駅やJR大阪駅構内の駅開発事業にも参画し、関西の駅ナカブームの火付け役的存在にもなっている。現在、大阪樟蔭女子大学でも「フードメディア研究」なる授業を持っている。

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